Atelier CHAKA*のシルクアイテムをシリーズでご紹介するコーナーです!
第一回目はシルクベールの「生地編」でした。
今回はシルクベールの「端処理編」。
端処理(はししょり)とは、シルク生地をカットした際にボソボソと糸が出てこないように、これ以上ほつれないようにするための裁縫技術です。
反物のシルク生地をカットするので、シルクベールにするためには両サイドの端処理が必要になります。
ちなみに生地の上下は予めほつれないように加工されています。
Atelier CHAKA*では「三つ巻き縫い」と「巻きロック」の2種類の端処理方法を採用。
用途に応じて使い分けています。
シルクベールは5匁が「巻きロック」、6匁が「三つ巻き縫い」で仕上げています。
5匁は中国の工場で端処理したものを仕入れているので、「巻きロック」のみ。
6匁は反物で仕入れたシルク生地を日本のアトリエで端処理しているので、「三つ巻き縫い」でも「巻きロック」どちらでも対応可能です。
「三つ巻き縫い」は、生地の端を極細の三つ折りにしてミシンで縫って仕上げます。
シルクスカーフやハンカチの端処理によく使われているので、見たことがあるかもしれません。
「巻きロック」は、ロックミシンで端をくるくると巻くように縫って仕上げます。
こちらは定番の端処理方法なので、お手持ちの洋服には必ず巻きロックのものがあると思います。
端処理は三つ巻きでも巻きロックでもどっちでもいいのでは?と思われるかもしれません。
なぜAtelier CHAKA*では「三つ巻き縫い」にしているかというと、絹糸を使用できるから。
絹糸で端処理することによって、シルクベールを染色する際に糸も生地と同色に染めることができます。
生地も糸もシルクで統一することによって細部まで美しく染色できる、というこだわりから「三つ巻き縫い」を採用しています。
また、職人技の光る三つ巻き縫いで手間をかけて仕上げることは、良質なシルク生地をより上質に仕上げたいという思いから。
裁断した部分に軽くアイロンを掛けてから三つ巻きで縫う、このひと手間が細部のディテールをランクアップしています。
ちなみにロックミシンはナイロン糸を使用しているので、Atelier CHAKA*で使用している染料では薄くしか染まりません。
大抵シルクなどの天然繊維を染める染料は、綿や麻などの天然物しか染まらない特徴があります。
淡くやさしい色味で染色する場合は目立たないのですが、濃色だと少し糸の色が浮いてしまいます。
ロックミシンの糸を絹糸にすると同じように染まるのですが、ロック用4本の糸を絹にするとかなりコストアップしてしまい、価格がぐんと上がってしまうので断念しました。
ほんのわずかですが(小数点以下のレベルw)、「巻きロック」の方が「三つ巻き縫い」より端が軽く仕上がるので、ファンベールとウイングは巻きロックで仕上げています。
中国製のシルクベールは巻きロックが多いですね、中東製のシルクベールに太めの巻きロックを見かけたのですが、このタイプはベールワークに影響が出るくらい重さが出ていました(ほんのわずかですけど)。
アトリエスタッフから、「薄手の生地、とくにシルクは何を作るにも縫うのがものすごく難しい!」との意見がありました。
彼女は元縫製のプロで、昨年からのメンバーのえりかさん。
そうなんです、薄手のシルクは元プロをうならせる、極めつけに難しくて手間のかかる生地なんですw
アトリエ設立からのメンバーでチーフのきょうこさんは、私からいきなりロックミシンを渡され、悪戦苦闘しながらもすぐに使いこなしてくれたツワモノ。
しかもシルクコスチュームの制作はとても難易度の高い作業なのですが、研究熱心なので日々進化を続けています。
話が脱線しましたが、「シルクベールの端処理」についてのご紹介でした。
次回は染色にしようか、ファンベールなどのシルクアイテムにしようか迷い中ですが、次回もお楽しみに!
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